夕暮れ読書メモ

本の感想が多めです

コーヒーを巡るお話31杯_『こぽこぽ、珈琲』


コーヒーにまつわるエッセイが31人分詰まっている。
1つの話が終わるごとにふぅ、と息をついたり後ろの著者略歴を眺めたり。
そんなことを31話分をしてるので、なかなか読み進まなかったが、昨夜勢いをつけて一気に読んだ。

独自のコーヒー哲学を展開する人や、ある喫茶店に関する思い出話、個人のコーヒー遍歴など、切り口もさまざまだ。
また、1800年代生まれの方もちらほらいて、それぞれの時代のコーヒーの価値や質を少しだが知ることができるのも興味深い。
深く印象に残るというより軽いエッセイが多いので、ふふっと笑えてリラックスしながら読んだ。
自分は「コーヒー通」ではないとわざわざ記す方も多いが、これだけのエピソードが書けるなら立派なコーヒー通ではないかと思ってしまう。

コーヒーの入れ方や器具の名称など、ちんぷんかんぷんな言葉はネットで調べつつ読んでいたので、まぁまぁ手間だった。
私の知識は「サイフォン式という言葉は聞いたことはあるけど、どういう意味?」というレベルなので…。
家にあるコーヒーマシーンは何式なんだろう?

感想の箇条書き

地獄のように熱く、恋のように甘く、思い出のように苦く、というのがコーヒーを淹れるこつだそうである。

最初から名言がでた!著者は野呂邦暢さん。この言葉とは関係ないけどオチも面白かった。

ウインナーコーヒーにはウィンナーが入っているのではなく、生クリームが乗っていると知ったのはいつだったろう。
星野博美さんや植草甚一さんのウインナーコーヒー話を読むと、飲みたくなってくる。まだ1度も飲んだことがない分想像が広がる。

滝沢敬一さんの文章はリズムが美しくて好き。どうでもいいが、バタという表記も好き。

甘い洋菓子なんて女子供のもんだ!とか言いそうなおじさまが、ケーキなど頬張ってるのを見ると失礼ながら微笑ましい。
内田百閒さんや外山滋比古さんに癒やされた。

茶店についてといえば、井上ひさしさんの話に引き込まれた。20代の頃NHKから喫茶店にかかってくる電話で業界用語をしゃべり散らし、周りの客に聞かせてドヤるくだりにはちょっと苦笑い。仕事場にする喫茶店の選び方は面白いが、選ばれた店の末路が悲惨…。確かに金払いが良いからといって、店主が特定の常連客に迎合するのはみてて不愉快だろう。馴れ合いをキッパリやめられるかどうかにも、国民性が出るようだ。

種村季弘さんの話を読んで、ふと「空飛ぶ馬」の砂糖合戦を思い出した。「喫茶店の砂糖にいたずら」という共通点しか無いけれど、比べてみると男子ってアホだなーと呆れつつ微笑ましい。お店からしたら怒り心頭なのだけど、なかなか大胆な行動で面白かった。

終わりに

私はコーヒーも好きだが、紅茶も好きだ。甘い飲み物自体がそんなに好きではないので砂糖は入れない。
コーヒーは1日3杯が限度だが、紅茶はガバガバ飲める。
この本に出てくる喫茶店はチェーンではなく古くからある喫茶店だ。私も入ってみたいけれど、怖い。
いつになったら入れるようになるんだろう。その頃には絶滅寸前になっていたりして…。
茶店に入るときだけおじさんに変身したいなぁ、なんて考えてみる。